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201502/27

人のために生きることを覚悟した生き方。それこそが人間にとって一番幸せな生き方

認定NPO法人 侍学園スクオーラ・今人 理事長 長岡秀貴さん


「認定NPO法人 侍学園 スクオーラ・今人」が運営する「侍学園」(長野県上田市)は、理事長を務める長岡秀貴さんが10年にも及ぶ奮闘の末設立した、若者の自立支援のための学校です。この春、長岡さんと彼を取り巻く若者の波乱に満ちた生き方を描いた青春群像劇である、映画「サムライフ」が公開され、話題となっています。そこで、これから就活を控えたみなさん、そして社会に巣立っていくみなさんに、長岡さんの生き方、そしてそこに込められたメッセージをお届けします。

認定NPO法人 侍学園スクオーラ・今人 理事長 長岡秀貴さん

「先生、俺、自分の学校作ります」。生き方を教えられる学校を

教師を目指し、大学で講義を受けていたとき、ある先生がこんな話をしてくれた。「将来の夢は何かと聞かれたとき、日本の子どもたちは「なりたい職業」を答える。ところが、欧米諸国では、職業という枠を超えて、「自分の生き方」について話しはじめる。君たちは、どちらの子どもを育てたい?」。そのとき、ぞっとしたね(笑)。「やばい俺、教師って職業を目指してるじゃん。しかも、同じ職業を目指して何百人もが机を並べて勉強してるって、なんか怖いかも(汗)」。

教育実習でも「先生には向いてない」という烙印を押された俺は、「自分の学校を作って、理想の教育をしよう」っていう大胆な未来を描いた。早速「長岡学園設立計画書」なるものを書いて、教授に「できますか?」って聞いてみた。答えは意外にも「YES !」。そこで「フリースクール」の存在を知ったのが、俺の「生き方」の始まりだった。

「また今後」とか「明日から」という言葉が嫌いだったので、その場で教授から、あるフリースクールを紹介してもらった。そこで出逢ったのは、一般の学校には行けない子どもたち。それまでも、そういう子どもたちの存在は知っていたけど、実感が湧かなかった。でも、現実にそこにはいた。ある子どもの「家にも学校にも自分の居場所がない」という言葉で、気持ちは固まった。「子どもたちにとってやさしい学校を作ろう。生き方を教えられる学校を」と。

20歳の頃「学校をつくる」という夢を抱いた

学校に行けなくなった子どもたちを救えるのは、やっぱり学校

「日本の教育や学校の仕組みは世界有数」だと思っていたから、しっかりとその仕組みを理解しておきたかった。だから、当面は「教師になること」を目標に頑張った。そして、みんなは奇跡っていうけど(笑)、なんとか母校の高校教員に採用された。

「学校に行けなくなった子どもたちを救えるのは、やっぱり学校」という信念は変わらず、5年後に学校を辞職。金も経験もなかったけど、4人の若者と一緒に、ハタチの時に描いた夢を、10年後、叶えた。それが、行き場を失った子どもや大人たちが、「生き方」を学ぶ場所である「侍学園(サムガク)」です。

そして、こんな俺の生き方を映画にしてくれた人がいた。映画「サムライフ」の森谷雄監督だ。地元ではすでに多くの人が劇場に足を運んでくれたし、いろいろな感想が毎日届く。40歳を過ぎたおっさんから、「俺、いままで何もしてなかった。でも、今日からなんかやる! 大丈夫だよね? これからだよね?」ってメッセージをもらった。なんだか、すごい嬉しかったね(笑)。

いろんな言い訳して、やりたいことをやらずにこれまで来ている人が多いんじゃないかな。時間がない、お金がない、やったことがない。果たしてそうなんだろうか? 俺なんて、先生やめて、まず働こうと思って飲食店を開業したとき、手元にあった現金、わずか725円(笑)。そもそも飲食店なんてやったことなかったし。あと、自分たちの取り組みを多くの人に知ってもらうために、本を出版した。それだって、ド素人が出版社つくって、寝る間も惜しんでやってこともない飛び込み営業して、なんとかかたちにした。そういう「生き方」をしてきた結果、協力してくれる人も増え、夢がかたちになったわけだから。

映画 『サムライフ』より

どんな職業に就くかが問題ではなく、どんなふうに働くかが重要

「型にはまったやつなんてかっこ悪い」。みんな、そんな風に考えてないかい? うちの学校は、まずは自分を型に押し込めることを徹底的にやっている。日本人にとって、この型ってすごく重要。日本人の秩序とか、礼儀正しさとか、世界から称賛される「美」は、型にはまって生きているからこそ。でも、人間っておもしろいもので、そうやって生きていくと、物足りなくなってその型を破るやつが必ず出てくる。それが、「型を破る」ってこと。ここで初めて「アイデンティティ」が生まれる。そしてそれが「個性」ってわけ。だから、基本的なルールも守らず、「俺は型破りな人生だ」なんて言っているのはちょっとカッコ悪い。

これから、就活をしたり、社会に出て働いたりするみんなは、きっと苦しいこともつらいことも経験する。でも、君たちはお母さんのおなかから胎動を通って生まれてきたとき、窒息状態で体をくねらせながら、身体的にも、精神的にも人生マックスの苦しみを経験している。ただそれを覚えていないというだけで、脳にはしっかりと潜在意識として刻まれている。だから、もっと自信を持っていい。どんな困難だって乗り切れるって。

「生きる」ことは「働く」こと。でもそれは、どんな職業に就くかが問題ではなく、どんなふうに働くかが重要なんじゃないかな。映画のタイトルでもある「サムライフ」とは「人のために生きることを覚悟した生き方」。俺はこれが人間にとって一番幸せな生き方だと信じてこれまでやってきた。みんなが人のために使える時間って、長い人生の中でも意外と短い。そのわずかな時間をどうやって使うか。それをしっかりと考えて欲しい。俺にとっては、大学の講義で感じた「自分の夢を職業ではなく、生き方で語れる子どもたちを育てたい」という使命感の裏側にあったものこそが「サムライフ」だったと思う。

映画「サムライフ」公開情報

2月28日(土)ヒューマントランスシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか順次全国公開。
2015年/118分
監督:森谷 雄 脚本:及川拓郎 音楽:原田智英
出演:三浦貴大、松岡茉優、加治将樹、柾木玲弥、山本涼介ほか
公式サイト:http://www.bitters.co.jp/samulife/


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