キャンパスの外にある学びを探しに!
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201412/22

【VOL.1】見えるからこそ「見る」と「見ない」の使い分けを

「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」 古賀孔士さん(アテンド)


NOIZの学生部編集長が「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」でアテンドを務める古賀孔士さんにインタビュー。そこには同じように日々学び、悩む、そして時々旅をする。そんな大学生2人の姿がありました。

「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」でアテンドを務める古賀孔士さん

“見ない”ことも一つの方法

小松崎 今日は取材を受けていただいてありがとうございます。インタビューの話を聞いたとき、最初どのように感じられましたか?

古賀 嬉しかったですよ。私に答えられることなら何でも答えようという気持ちできました。今日はいつものように“こがっち”と呼んでください。

小松崎 じゃあ、こがっち! そもそもこがっちがダイアログ・イン・ザ・ダークのアテンドを始めたのはどんなきっかけでしたか?

古賀 いま大学4年生なのですが、1年生の夏休みに始めました。もともとアルバイトがしたかったのですが、まあ、やっぱり視覚しょうがい者のアルバイトは限られていて。たとえば書籍の点字化にあたっての校正のような仕事はあるのですが、ちょっと違うなと感じていました。そんなときにダイアログ・イン・ザ・ダークのアテンドの仕事を知りました。ただ最初は、福祉体験の色が強いのならやめておこうと思いましたね。

小松崎 それはどういった理由で?

古賀 私は見えないことをハンディキャップとしてとらえていないので、“視覚しょうがい者を助けよう”みたいなノリは嫌だなと。健常者と肩を並べたいという気持ちで大学に進学したくらいなので。するとダイアログ・イン・ザ・ダークが、一度体験に来てと言ってくれたんです。それはアテンドとしてではなく、参加者だったのですが、すごく衝撃を受けました。真っ暗っていうのは自分にとっては普段と変わらない世界なのですが、一緒に参加したみなさんがどんどん変化していったんです。自分との距離が近くなるのもおもしろかったですね。

小松崎 福祉体験とは違うと実感できたわけですね。何か仕事をするうえで心がけていることはありますか?

古賀 私は人と話すのは決して苦手ではないのですが、それでも言葉の選び方は慎重にしています。私の言葉一つでお客様の体験、印象が変わってしまうからです。よりよい体験としていただくために、アテンドスタッフとしてお客様の声をしっかり聴き、一緒に作り上げていけたらと思っています。

小松崎 ダイアログ・イン・ザ・ダークの90分のなかで何を感じ取ってほしいとか、そういう期待はありますか?

古賀 視覚の情報はとても便利なので見えた方がいいけれど、“見ない”というのも一つの方法ですと、たいていのお客様に話しています。季節の移り変わりだったり、人とのコミュニケーションだったり、見ないことで見えてくることもありますよと。見える人たちには、“見える”と“見ない”の使い分けをお勧めしています。

大学進学の理由は「健常者と肩を並べたい」

小松崎 こがっちは一般企業の就職を考えていると以前に聞いたのですが、その気持ちはいまも変わらずに?

古賀 ええ。厳しい状況ではありますが、変わっていません。もともと視覚しょうがい者の場合、マッサージ師や教員などが多い。ただ私はどうしても健常者と肩を並べて働きたい。

小松崎 ちなみに大学を選ぶときの決め手は何だったのでしょうか?

古賀 いい意味で“特別扱いをしない”かどうか。私はあえて一人でオープンキャンパスに行ったんですよ。どの大学も臨機応変に対応してくださったのですが、結果、学生と職員さんがしょうがい者に対して壁を作らない、しかし必要な支援はしてくれる、という居心地の良さを感じた東洋大学を選びました。ただこれはもちろん私個人の意見です。たとえば車椅子になるともっとハード面での充実が求められるでしょうし、他のしょうがい者によってまた意見は変わるのかもしれません。

旅ならではの空気感を求めて

小松崎 こがっちは一人でバリバリ出かけちゃうんですね。

古賀 旅行だって行きますよ。鉄道が好きで鉄道研究会に入っているのですが、時間ができるとふらっと出かけちゃいます。

小松崎 僕の場合、旅に出たいと思うときは視覚からの情報が大きい。ポスターとか見てこの景色が見たいなとか。こがっちの場合はどんなときに旅に出たくなるの?

古賀 空気感ですね。たとえば“沖縄の海がきれい”という情報があるとすると、そこにどんな人がいて、どんな空気が漂っているのかを知りたくなる。あとは人の反応で旅を感じることも多いですね。飛行機に乗っていてまわりがざわざわし始めると、“来たか!”とこっちまでテンションあがったり(笑)。あと夜行バスも進んだ距離がリアルに体感できるから好き。長い間閉じ込められた後、開放されたときの朝の澄んだ空気の気持ちよさ! あれが癖になるんです。

小松崎 こがっちと一緒に旅してみたいなあ。僕は観光学部に所属していることもあって、こがっちの旅の仕方にすごく興味があります。旅に出たいと考えているしょうがい者の方はいっぱいいるだろうし、こがっち流の旅情報をどんどん発信していけたらいいですね。

(取材/学生部編集長 小松崎欽一、文/杉本良子)

VOL.2につづく

「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」オリジナルグッズも人気

【ダイアログ・イン・ザ・ダークとは】

ダイアログ・イン・ザ・ダークは、
暗闇のソーシャルエンターテインメントです。

参加者は完全に光を遮断した空間の中へ、グループを組んで入り、暗闇のエキスパートであるアテンド(視覚障害者)のサポートのもと、中を探検し、 様々なシーンを体験します。その過程で視覚以外の様々な感覚の可能性と心地よさに気づき、そしてコミュニケーションの大切さ、人のあたたかさを思い出しま す。

世界約 30か国・約130都市で開催され、2011年現在で700万人以上が体験したこのイベントは、1988年にドイツで、哲学博士アンドレアス・ハイネッケ の発案によって生まれました。日本では1999年11月に初めて開催され、現在は東京・外苑前の会場にて常時開催中。これまで約14万人が体験しています。

ダイアログ・イン・ザ・ダークの詳細はこちら


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