キャンパスの外にある学びを探しに!
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201409/30

様々な体験と重ねることで学びは深化する 「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」から学んだこと

ダイアログ・イン・ザ・ダーク × 立教生 × NOIZ


「大学の学部なんてどこでもいい」って思っていませんか? 確かに、特徴ある学部が増えるなか、どうやって選べばいいか迷いますよね。そんな皆さんのヒントになればと、特徴ある立教大学新座キャンパス所属の、3学部7学科の学生の皆さんに、完全に光を遮断した空間の中で、暗闇のエキスパートであるアテンドのサポートのもと、さまざまな体験を行う、「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」というワークショップを体験してもらい、興奮冷めやらぬ間に座談会を開催しました。それぞれの言葉の中にきっと各学部の特徴が見えてきますよ!

【参加者】
土居君(現代心理学部 心理学科 2年)/中西さん(現代心理学部 映像身体学科 2年)/阿部さん(コミュニティ福祉学部 福祉学科 3年)/江花君(コミュニティ福祉学部 コミュニティ政策学科 3年)/熊坂さん(コミュニティ福祉学部 スポーツウェルネス学科 2年)/田沼君(観光学部 観光学科 3年)/小松崎君(観光学部 交流文化学科 3年)

これから真っ暗闇の世界に……それぞれ何を感じてくれるのか期待!

授業で学んだことを実際に経験することの大切さを実感

「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」を初めて体験した感想を、皆さんの専門分野からの視点で聞かせてください。

阿部 私は社会の中で、誰かが孤立して、差別や孤独死という結果を招くことのないよう、協力して誰もが幸せに暮らせるコミュニティを作るにはどうしたらいいのかということを学んでいます。 そのため、「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」での体験はとても新鮮で、「福祉学科」には、こういう学びの分野もあるのだと改めて感じました。これまでしょうがいを持った方に対し、自分とは違うという見方をし、壁を作っていました。でも、そうした壁を取り去ることこそ、私たちが目指すべきコミュニティづくりには不可欠ではないかと、気づくことができました。

江花 僕が学ぶコミュニティ政策という領域が扱うテーマはとても広いのですが、根底にあるのは「人と人とのつながり」。そして今日感じたことは、私たちは、人と人とのつながりを考える上で、とかく表面だけを見てやり取りしてしまいがちなのですが、目に見えるものだけではなく、相手の深いところまで入り込んでいかないと本当の関係性に気づくことはできないということでした。先進国と途上国という関係において、先進国は、上からの目線ではなく、相手を主体的に考え、本当に必要な援助をすべきなんですよね。これって正直、日常でもあると思います。しょうがい者の方を同情の目で見たり、上からの視線で援助したり……。でも今日は完全にアテンドの方に助けられました。そっか、僕たちは視覚だけが勝っているだけで、本当は同じなんだなって。

熊坂 私は「スポーツウェルネス学科」で勉強しています。「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」では、音がするボールを用い、聴覚を頼りに、暗闇でのキャッチボールを体験しましたが、大学でも「ゴールボール」というしょうがい者スポーツを体験したことがあります。私たちは目隠しをして競技に臨むんですが、そうすると一般の人もしょうがい者の人も垣根が無くなり、平等なスポーツになるんです。また、弱視の方に、スポーツの映像を実況して伝えたことがあります。バタフライのシーンだったのですが、体の動きだけではなく、その時の水の動きや、どんなアングルから撮影されているなど、「言葉で伝える能力」が試されるなって実感しました。アテンドの方は、本当にお話しが上手で、「目に見えないことを伝えるって、こういうことなんだ!」と教えられた思いです。

土居 僕は心理学を勉強しているのですが、まず感じたのは、「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」はカウンセリングのプログラムに活用できるのではないかということでした。カウンセリングって、まさに人と人との対話ですから。また、授業で、例えば視覚を失うと、人間はその他の感覚が発達するということを習ったのですが、まさにそれを実感したのが、皆の声が次第に大きくなっていったということです。これは聴覚が研ぎ澄まされたのかな。授業で勉強したことをこうして実際に経験するのはとても貴重です。表情や、身ぶり手ぶり、声のトーンなど、非言語の部分が伝達する上で重要なファクターになるそうですが、表情が見えないだけに、それぞれの人の声のトーンに意識が行くようになり、それで声が大きくなったんでしょうね。

中西 私は高校生の時から映画づくりに取り組んでおり、今も「映像身体学科」というところで、映像の勉強をしていますが、「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」を体験してみて、「見えないこと自体も映像の一つ」なのかなって思いました。映像ってなんだろうって考えた時、例えば見えない場所にカメラを持って行くことで、あたかもその場に行ったような風景を、映像を通して見ることができるように、映像は見えないところに行くことができる足と目を持つ手段なのです。そういう意味で身体を拡張させる効果があると思うのですが、今日体験した「暗闇という映像」もその一つだったと思います。

小松崎 僕は観光というちょっと珍しい学問を専攻しています。なぜ人が旅するのかと考えた時、やはり「非日常体験」をしたいという欲求が根底にあると思いますが、「何もないところにでも非日常空間は作れる」んだって、気付きました。僕のゼミは、フィールドワークを重視しているんですが、これまでを振り返ってみると、視覚による比較ばかりしていたことに気づきました。「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」を体験して、実は、目だけではなく、耳を使って、「ここは賑やかだな。英語とスペイン語が入り乱れているな」とか、味覚を使って「このエリアの料理は辛いけど、あっちは薄味だな」という、五感をフルに活用したフィールドワークをすることで、可能性が大きく広がるのでないかと、すごくワクワクした気持ちになりました。

田沼 僕も同じく観光の勉強をしていますが、「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」を体験して、「観光はこの先無くならない!」と改めて実感しました。非日常を味わえる旅の醍醐味は、決して目に見える世界だけではないとわかったからです。旅に出た時は、感覚がとても大切です。空気が違うなって感じたり、耳から入って来る音や漂う香りなど。今は、動画やそれこそ「ストリートビュー」で、バーチャルな体験ができますが、やっぱり現地を訪れないと味わえない「感覚」こそが、旅が人を惹きつける一番の要因なんだって、再認識できました。また、しょうがい者の方の雇用創出にもつながっているんだと考えたらとても意義深いですね。

新しい価値観を今までの自分に照らし合わせることでわかること

「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」を体験して、これまでの経験を振り返って何か気づいたことはありますか?

江花 イランは危険なイメージがありますが、実際に行ってみたら人々がとても親切で、本当に行ってみなければわからないことだらけでした。人の優しさは事前には目には見えませんからね(笑)。そこで訪れた「エスファーハン広場」は、それまで写真で見ていた世界とは全く別物でした。早朝の幻想的な風景に出会った瞬間、思わずニヤニヤしてしまいました。ずっとその場に、ぼおっと座っていました。この感覚は、視覚だけでは絶対に得られなかったと思います。

土居 「対人関係の心理」という授業で、違和感のない人との距離は、場面やその人との関係によって違うということを学んだのですが、今日は初対面の人が居て、最初緊張した割には、暗闇に中で自然と寄り添い、信頼し合うことができたなって思い、とても興味深かったです。暗闇とアテンドの方が、人と人との垣根を取り払ってくれたんでしょうね。

小松崎 例えば、信号を渡るときの視覚しょうがい者の方の気持ちってどんなだろうとか。細かな点で色々な興味が湧きました。車が行き来するブーンという音と、信号の警告音が合わさった音の世界なんてこれまで意識したことがありませんから。テレビの副音声などもこれからは興味をも持って見てみたいと思いました。

(司会・テキスト NOIZ編集長 丸山 剛)

【ダイアログ・イン・ザ・ダークとは】

ダイアログ・イン・ザ・ダークは、
暗闇のソーシャルエンターテインメントです。

参加者は完全に光を遮断した空間の中へ、グループを組んで入り、暗闇のエキスパートであるアテンド(視覚障害者)のサポートのもと、中を探検し、様々なシーンを体験します。その過程で視覚以外の様々な感覚の可能性と心地よさに気づき、そしてコミュニケーションの大切さ、人のあたたかさを思い出します。

世界約 30か国・約130都市で開催され、2011年現在で700万人以上が体験したこのイベントは、1988年にドイツで、哲学博士アンドレアス・ハイネッケの発案によって生まれました。日本では1999年11月に初めて開催され、現在は東京・外苑前の会場にて常時開催中。これまで約14万人が体験しています。

ダイアログ・イン・ザ・ダークの詳細はこちら

【座談会を終えて】

プログラム終了後に会場で配布された7枚のアンケート用紙は、名前を伏せてしまったら誰が誰のものかわかりませんでした。しかし、自分の専門分野を背景に話し始めた途端、こんなにも所属学科によって意見が異なるものかと感心するくらい、多様な意見が飛び出してきました。学部が変わるだけで全く違う視点の意見に触れることができることを改めて認識しました。自分の学部だけではなく、同じキャンパスにある学部の情報についても調べてみると、これまでとは違う新たな視点で学部選びができるかもしれません。


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