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201409/30

いつもの旅にちょい足しで、ちょっと刺激的に~現地の人にアポして取材する魅力とは~

リポーター 小松崎欽一(NOIZ学生編集長)


皆さんはどんな旅のスタイルが好きですか。ツアーに参加して観光地を巡ったり、一人バックパックを背負って各国からの旅人と交流したり、友人とローカルフードやショッピングを楽しんだり、リゾートでのんびり読書したり……。いろいろな楽しみ方があると思いますが、僕は今回、いつもの旅をちょっぴり刺激的なものにしたくて、小さなチャレンジをしてみました。

観光もリゾート気分も味わえるシェムリアップはお気に入りの旅のスタイルの一つ

「現地の方に会って取材する!」を旅のオプションに

今回、僕が訪れたカンボジアのシェムリアップは、世界遺産として名高いアンコールワット遺跡で名高い。トゥクトゥク(三輪型バイクタクシー)に揺られ、心地よい風を正面に受けながら観光地を転々としたり、パブストリート(シェムリアップで最も賑わう繁華街)でエキサイティングな夜を過ごしたことは、どれも記憶に色濃く残っていますが、旅の終盤に、現地で雑貨屋「very berry」を営む中川裕聖子さんにお会いしてインタビューをさせていただいたことも、貴重な体験となりました!

出発前、海外に移住した日本人の方に取材することで、観光だけでは見えてこない、現地の文化や人びとの暮らしについて、理解を深められるのでは。そして、新たな価値観に出会い、その国にいっそう親しみを感じて帰国したいという思いから、たまたまHPで紹介されていた中川さんに直接連絡し、インタビューに応じていただきました。

海外旅行という貴重な体験で、ホテルや航空券を手配する延長で、現地で会いたい人にアポを取って出かける。そんなひと手間で、いつもの旅が、より刺激あるものになると、今回の経験から実感しました! 以下、中川さんのインタビューを紹介させてください。

現地スタッフと製品の質を確かめる中川さん

良い仕事をすることで楽しく幸せになれるという
気持ちをベースに「win-win-win」な関係を築きたい

雑貨屋「very berry」オーナー 中川裕聖子さん

 

Q カンボジア在住10年という中川さんから見たシェムリアップの魅力を教えていただけませんか。

—例えば数日の旅行でなら、場所を厳選した上で遺跡観光を1~2日に集約します。アンコールワットをはじめとした遺跡はどれも確かに素晴らしいのですが、似たところもあるので飽きてしまいますよね。それよりも、郊外の田舎がおすすめです。高床式の住居で、家の中にお手洗いもないような環境での暮らしの様子を見るのは、貴重な経験になるのではないでしょうか。シェムリアップのような観光地では、人びとの暮らしや文化というのは見えにくいですから。

Q 学生に就業体験をさせるインターンシップが日本で流行っていますが、中川さんが学生をお店に受け入れるとしたら?

—日本でインターンシップに挑戦する学生って多いのですね。私も同様の取り組みに興味があります。数日間のインターンシップなら、私のお店にプラスの影響をもたらしてもらうというよりは、参加した学生さんに何らかのプラスの影響を与えてあげたいですね。半月ほどの期間があれば、例えば「日本人観光客の皆さんに、このお店を知ってもらうにはどうすればいいのか」ということを考えてもらったり、新しい商品を一緒に作ったりということが可能かもしれません。

ところで学生の皆さんはボランティア活動目的でカンボジア入りする人も多いようですが、笑顔のはじける子供たちや、強い心で生きる現地の人の姿を目の当たりにして、むしろ学生たちの方が元気をもらって、帰途の路につくケースが多いような印象を受けます。

Q very berry の従業員は中川さんを除いて、皆さん現地の方のようですが、その環境で苦労したことはありますか?

—現地で雇用した何人かに、村の職人や現地NGOとの交渉を任せることもあるのですが、一番の苦労は、なかなか私の意図通りに仕事をしてもらえないという点です。例えば、私としては作り手のモチベーション向上のために製品を発注してあげたいという気持ちや、納期を守ってもらって質の維持に配慮してもらいたいといった考えを持っているのですが、 その考えを実際に伝えてもらえることは少ないです。どうしても言われたことを、ただ淡々とこなすといった印象です。

また、商品の在庫が切れそうなとき、商品補充のために再発注の手続きを自発的にしてもらうのも難しいですね。今話したように、私としてはこれができなかったらこういった悪影響があるよ、といった考えから仕事に対するモチベーションを上げてもらいたいのですが、実際は「これができなかったら次のお給料アップはできないよ。」などと諭して、お金でのインセンティブでモチベーション向上を狙うのが現実です。

Q 今のお仕事において大切にしている考えは何ですか。

—この仕事を通じて常に意識していることは、win-win-winの関係を築きあげていくことです。よく来店されるお客さんに「フェアトレードのお店ですか」と尋ねられることがありますが、「そうじゃないです」というと逆にがっかりされる人も結構いらっしゃって。やはり貧困などのイメージがまだまだ抜けきれていないのが今のカンボジアという感じがします。しかし、私がやろうとしている仕事はもっと単純なことで、物を作る職人が大勢いたら、より多くの方に携わってもらいたいと思うのが普通ではないでしょうか。それで買う側にも満足して頂けるのであれば、それほど嬉しいことはありません。ここでビジネスをしている私も含めて、みんなが満足するような関係性ができるかが一番重要だと思います。カンボジア産の商品は日本をはじめ、世界にも十分通用するということを作り手に知ってもらいたいし、買う側にも貧困などのネガティブな感情を持ってほしくないですね。win-win-winの商売ができる。それって本当にどの企業でも普通のことだと思います。

当たり前のことをすることによって、作り手の底上げをしていきたい、こういうとボランティアっぽく聞こえますけど、それは助けてあげたいというエゴではなく、「いい物を作ることによって、収入が入りますよ! だから一緒に楽しく儲いていきましょう」という単純な思いからなのです。

当たり前のことをすることによって、作り手の底上げをしていきたい

【プロフィール】

YUKIKO NAKAGAWA

オールドマーケットに位置する雑貨屋「very berry」のデザイナー兼オーナー。カンボジア滞在歴は今年で10年目。女の子の好みそうな雑貨の多くがタイやベトナム産で、カンボジア産のものが少ないことに注目し、カンボジアにも遺跡、地雷、貧困のイメージだけではなく、良質な物もあるということを発信していきたいと考えていた。加えて、カンボジアが観光地としても経済的にも更なる発展を遂げていく確信があったことから現地での起業の決意。

「very berry」の詳細・お問い合わせはこちらから

【編集後記】

カンボジアで起業に挑戦する日本人は中川さん以外にもたくさんいるようです。中川さん自身、最初はひとりでの挑戦だったそうですが、現地のスタッフを雇う際にもFacebook経由で探すことができるそうで、英語さえできれば、あとはやる気と工夫で起業すること自体は可能といった印象でした。しかしながら、実際は途中で撤退をする人も少なからずいることも忘れてはいけません。

観光を通して、遺跡の偉大さに衝撃を受ける感動も滅多に味わうことができず、貴重な経験となりましたが、このような貴重なお話を直接お聞きした後の感動もそれに負けないものがありました。ぜひ皆さんも一度、実際にアポイントメントをとり、旅先で誰かに会いに行ってみることをおすすめします。  ところで、私自身もvery berryで販売されていたコーヒー豆に惹かれ、 お土産として4パックほど購入してしまいました。インタビューは緊張しましたが、今となっては「大満足!」の一言です。中川さんどうもありがとうございました。


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